ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

高流動、低負荷に優れたフィルム向けグレード

高流動、低負荷に優れたフィルム向けグレード

ハーモレックス™ NF465Aの開発

ハーモレックス™ NF465Aは、インフレーションフィルム加工メーカーの皆様の様々なニーズに応えるために開発されました。

  • 省エネルギーの重要性
    地球環境への配慮がますます重要視される中、省エネルギーは不可欠な要素となっています。ハーモレックス™ NF465Aは、成形加工時に必要なモーターやヒーターの電力使用量を削減することで、環境負荷を軽減します。
  • 働き方改革と人手不足への対応
    労働力不足や働き方改革の進展により、人手不足が深刻化しています。そのような中でフィルムメーカーの皆様から省人化でも安定したフィルム成形可能な樹脂が求められています。ハーモレックス™ NF465Aは、高い流動性と成形安定性を有し、成形機立ち上げ後は、無人運転でも高品質なフィルムの生産を可能にします。
  • 生産性向上とコスト削減
    競争力を維持するためには、生産性の向上が不可欠です。ハーモレックス™ NF465Aは、加工効率を高めることで、単位時間当たりの生産量を増やし、コスト削減と生産性向上を実現します。

これらの背景を踏まえ、ハーモレックス™ NF465Aは環境に優しく、効率的で高品質なフィルムの生産を可能にする材料として開発されました。

ハーモレックス™ NF465Aの特長

当社独自の気相法製造技術で生産されたハーモレックス™は高強度、低溶出性といった特長を有しています。その中でも NF465A には、さらに以下の特長があります。

  • 低フィッシュアイ
    ドライラミネート加工で別の基材と貼り合わせる際、フィルムにフィッシュアイ(FE)があると、外観不良により製品ロスにつながります。ハーモレックス™ NF465Aは低フィッシュアイを特長としており、製品の品質が均一になり、ロス削減に寄与します。
  • 高吐出可能・省エネルギー(低負荷)
    高い吐出性能を持ち、省エネルギーでの成形が可能です。この特長により、製造コストの削減と環境負荷の低減が実現します。
  • 優れた成形安定性
    インフレフィルム成形時のバブル安定性に優れ、品質のばらつきが少ないため、連続生産に適しています。
  • 成形時の設定温度低下可能
    成形時の設定温度を下げることが可能であるため、ヒーターにかかる電力を削減できます。
  • アンチブロッキング剤フリー可能
    ハーモレックス™ NF465Aには、添加剤であるアンチブロッキング剤、スリップ剤を配合しておりません。
    一方、アンチブロッキング剤、スリップ剤マスターバッチを添加しなくても、耐ブロッキング性に優れたフィルムに仕上がるように設計をしております。マスターバッチ分のコストを削減することが可能となります。

ハーモレックス™ NF465Aの用途例

ハーモレックス™ NF465Aは、以下のようなフィルム用途での使用が期待されます。

  • シーラントフィルム
    95℃以下のボイル条件で使用可能なシーラントフィルムとして利用可能です。
  • 汎用包装材
    一般的な包装材として広く使用されることが可能であり、食品、工業製品など、さまざまな製品の包装に適しています。

インフレーションフィルム物性

ハーモレックス™ NF465Aは、高い流動性と高い溶融張力を両立させており、高速成形でも安定した成形が可能です。これにより、生産効率が向上します。さらに、成形機立ち上げ後は、バブルの揺動のような 成形トラブルが少なく 、製造ラインの停止を最小限に抑えることができます。

消費電力

ハーモレックス™ NF465Aは、従来のインフレーション成形向けのハーモレックス™ NF366Aよりも電力使用量を抑えた成形が可能です。これにより、製造コストの削減と環境負荷の低減を実現します。

アンチブロッキング剤不要

ハーモレックス™ NF465Aは、アンチブロッキング剤やスリップ剤を使用しなくても良好な耐ブロッキング性を示すフィルムの成形が可能です。これにより、製品製造上でのコストを削減できます。具体的には、マスターバッチの使用量を減らすことで、原材料費の削減が可能となり、全体的な製造コストの低減に寄与します。また、マスターバッチの減量により、製造プロセスが簡素化され、効率が向上するため、さらなるコスト削減が期待できます。

成形時の設定温度低下可能

ハーモレックス™ NF465Aは、成形時の設定温度低下可能な樹脂です。特に、ハーモレックス™ NF366Aと比較して20 ℃低い温度でもインフレーションフィルム成形時のせん断速度領域で溶融粘度が低く、ヒーター電力を削減できます。また、他社メタロセンLL樹脂(密度:0.920 g/cm3、MFR:1.9 g/10 min)と比較しても10 ℃低い温度で同程度の溶融粘度を実現しており、エネルギーコストの削減に貢献します。

ハーモレックス™ NF465A使用例

単層インフレ成形フィルム

ハーモレックス™ NF465Aの単層フィルムは以下のような優れた特性を有しております。

  • マット調の見た目
    表面がマット調のユニークな外観のフィルムとなり、内容物が見えにくいため、一例として衛生用品の包材として活用いただけます。
  • ブロッキングしにくい
    マット調の表面により、フィルム同士がブロッキングしにくく、取り扱いが容易です。これにより、作業効率が向上し、保管や輸送時のトラブルを軽減します。

ハーモレックス™ NF465Aの単層インフレフィルムは、見た目の美しさと機能性を兼ね備えたフィルムで、さまざまな用途において優れたパフォーマンスを発揮します。

多層インフレ成形フィルム

ハーモレックス™ NF465Aを多層フィルムに用いると、その優れた押出特性から、以下の特徴を発揮します。

  • 省エネルギー
    多層フィルムの中間層にハーモレックス™ NF465Aを使用することで、加工時に必要なモーター電力とヒーター電力が削減されます。一般に、多層フィルムでは中間層を厚くすることが多く、その中間層にハーモレックス™ NF465Aを使用することで、他の樹脂使用時と比べてエネルギーコストをより削減することが可能です。
  • 易成形
    多層フィルムにハーモレックス™ NF465Aを用いると、他の層に溶融張力の低い樹脂を使用しても、ハーモレックス™ NF465Aの高い溶融張力によって、安定して成形することができます。
  • 良好なフィルム物性と押出特性のバランス
    ハーモレックス™ NF465Aの単層フィルムはマット調の表面のため、不透明なフィルムに仕上がります。しかし、多層フィルムの中間層にハーモレックス™ NF465Aを用いた上で、内層や外層に透明性の高い樹脂を使用することで、高透明なフィルムに仕上げることが可能です。また、耐衝撃強度をさらに高めたい場合は、内層や外層に耐衝撃強度の高い樹脂を使用することで強度アップが実現可能です。このように、必要な機能を持つ樹脂を組み合わせることで、ハーモレックス™ NF465Aの省エネルギー特性を活かしながら、高機能なフィルムを製造することができます。

[フィルム構成例]
高透明: 外層) UF421/NF465A/UF421 (内層
高強度: 外層) NF366A/NF465A/NF366A (内層
※ ノバテック™ LL UF421 (密度 0.926 g/cm3、MFR 0.9 g/10 min)

ハーモレックス™ NF465Aは、その優れた特性により、さまざまな用途に適用できます。高強度、低溶出性といった基本特性に加え、低フィッシュアイ(FE)、高吐出可能・省エネルギー、高い成形安定性、アンチブロッキング剤フリー可能、成形時の設定温度低下可能といった特長を持つため、多くの分野での利用が期待されます。
特に、シーラントフィルムや汎用包装材としての用途では、その高い性能が発揮され、製品の品質向上と製造コストの削減が実現します。また、環境への配慮が求められる現代において、製品ロスの低減を可能にする優れた成形安定性 や省エネルギーでの成形が可能な点は、大きなメリットとなります。
ハーモレックス™ NF465Aは、今後より多くの分野でご利用いただき、その優れた特性によって、持続可能な社会の実現に貢献します。さらに詳しい情報についてご希望の場合、お気軽にお問い合わせください。

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