ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

未利用の資源を活用する、新しいバイオマス原料コンパウンド

未利用の資源を活用する、新しいバイオマス原料コンパウンド

従来は利用されていなかった様々なバイオマス原料を、弊社のポリエチレンと溶融混練(以下、コンパウンド)することによって、新たな資源に変えることが可能になります。
また、バイオマス原料とポリエチレンの溶融混練物に、相溶化材を配合することによって、バイオマス原料の含有率を上げたり、分散性を向上させ、種々の物性を向上させたりすることも可能になります。

バイオマス原料とは

バイオマス原料とは、農業副産物や林業残材などを指します。具体的には、稲わら、麦わら、もみがら、林地残材、剪定枝などが挙げられます。これらの資源は、一部は土壌改良材や家畜の敷料、飼料に利用されますが、活用先が限られており、効率的な利用が難しく、未利用のまま放置されたり、廃棄されたりすることが多くなっています。

バイオマス原料コンパウンドの意義

バイオマス原料コンパウンドとは、従来利用されなかったバイオマス原料をプラスチックに混ぜ込むことです。バイオマス原料コンパウンドは環境に優しい素材として注目されています。以下にその意義と効果を説明します。

  • カーボンニュートラル
    バイオマス原料は成長過程で二酸化炭素を吸収するため、バイオマス原料コンパウンド製品の製造と使用はカーボンニュートラルに寄与します。これにより、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化対策に貢献します。
  • プラスチック使用量の削減
    バイオマス原料コンパウンドは、従来のプラスチックに比べて使用するプラスチックの量を大幅に削減できます。例えば、ある農業副産物を高配合したバイオマス原料コンパウンド製品では、プラスチック使用量を50%削減することを可能にしました。
  • 経済的利益
    未利用のバイオマス資源を原料として利用することで、新しい産業や雇用の創出にもつながります。特に、地方で産出される未利用のバイオマス原料を活用することで、地域経済の活性化が期待されます。また、バイオマス原料コンパウンドの開発は、新しい技術や製品の開発を促進し、産業全体の技術革新を推進します。これにより、持続可能な素材の開発が進み、環境負荷の低減に寄与します。

日本ポリエチレンの取り組み

当社はポリエチレンという合成樹脂を製造・販売する会社です。ポリエチレンは各種成形加工により、食品包材や洗剤・薬品容器、衛生材料、流通用フィルムなどの生活資材や、水道・ガスパイプや電線被覆、ガソリンタンクに代表される自動車構成部品などの産業資材として世の中で幅広く使用されており、現在の私たちの生活には無くてはならない素材です。
バイオマス原料コンパウンドの開発においては、当社がこれまで培ってきた知見をもとに、ご提供いただいたバイオマス原料に対し、最適なコンパウンド用ポリエチレンや相溶化材をご提案します。バイオマス原料を最大限に活用し、持続可能な未来を実現する革新的なソリューションを提供し、地球環境の保護とお客様のニーズに応えていきます。以下に、当社の具体的な取り組みとその事例をご紹介します。

1. コンパウンド向けベースレジンの提案
当社は、HDPE、LLDPE等、多種のポリエチレンを取り扱っており、また、フィルム、ラミ、ボトル向けと各用途に適したグレードを取り揃えております。(製品情報はこちら
コンパウンドするバイオマス原料の性質、また目的の製品の要求物性にあわせて、最適なポリエチレンベースレジンをご提案します。
表1はベースレジンにご使用いただけるグレードの一例です。カーネル™及びハーモレックス™はメタロセンLLDPEで強度に優れたグレードです。バイオマス原料をブレンドすることで低下する物性を補うことに適したグレードとなります。
また、フィルム等に成形する際に、更に新たなポリエチレンをブレンドすることで、剛性や衝撃強度といった製品の性能をもう一段、向上させることも可能です。

表1 コンパウンド向けベースレジン例

2. 相溶化材のご紹介
バイオマス原料とポリエチレンのコンパウンドでは、バイオマス原料の含有率を上げられない、物性において通常のポリエチレン製品と比べて衝撃強度などの強度が格段に低下するという問題が発生します。これは、バイオマス原料とポリエチレンの化学構造の違いに起因します。ポリエチレンは炭素と水素のみからなる単純な構造を持つのに対し、バイオマス原料は様々な官能基を含んでいます。この違いにより、分子間の相互作用が弱くなり、相溶しにくくなります。これにより、バイオマス原料が凝集するなどして、製品のパフォーマンスが低下してしまいます。
このような事態に対し、当社の相溶化材をブレンドすることで、ポリエチレン中のバイオマス原料の分散性を向上させ、これらの問題を解決することが可能です。
図1に示す通り、LLDPEベースのバイオマス原料含有率15wt%のインフレ成形フィルムにおいて、相溶化材を5wt%添加することで、衝撃強度(ダートドロップインパクト)が35%向上することが確認されています。また、相溶化材の利用によって、衝撃強度だけなく、分散性向上による外観の良化(ブツの減少)、インフレフィルム成形時のバブル安定化、バイオマス原料の含有率の増加といった効果も期待されます。
相溶化材の詳細については、レクスパール™ 製品ページをご覧ください。

図1 相溶化材による衝撃強度の改質

3. ラボテストのご協力
当社研究所保有のラボ機(関連ページ)を使って、バイオマス原料とのコンパウンドテスト、フィルムへの成形テストを実施が可能です。
当社は多種のポリエチレン製品を扱っているため、お客様のご要望に合わせて複数の配合を提案することが可能です。お客様、またはコンパウンドメーカー様やフィルムメーカー様の実機でテストをしていただく前に、当社ラボ機で「味見」をして、最もパフォーマンスの高いレシピをご検討いただけます。詳細についてはHP等からお問い合わせください。

4. バイオマス原料コンパウンドの実績
これまで、当社の技術を活用して、複数のバイオマス原料コンパウンド製品を開発してきました。例として、食材残渣や木材由来のバイオマス原料とのコンパウンドの実績があります。一部製品においては、ゴミ袋やレジ袋として発売に至ったものもあります。現在も新たなバイオマス原料を活用したコンパウンド製品を検討中です。

バイオマス原料コンパウンド製品は、環境保護と持続可能な資源利用を実現するための重要な鍵となる存在です。この製品の導入は、より良い未来を築く手段であり、企業としては社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献できます。これにより、企業のブランド価値が向上し、消費者からの信頼も得ることができます。当社はこの新しい製品を作り上げるお手伝いが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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