ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
近年、私たちは下記に掲げるような様々な環境問題を抱えており、将来において持続可能な社会を継続していくためには、どのように環境負荷を低減していけるのかということが課題となっています。
ポリエチレンは軽量で成形性が良く耐衝撃性に優れることから世の中に広く普及しているプラスチック素材ですが、こうした環境問題へのアプローチとして、これまでの破壊強度や耐衝撃性といった機械物性、耐久性を重視した製品開発だけでなく、素材使用量削減や省エネルギー化、再生材の有効活用に貢献できるような製品開発が求められています。
ハイフォテック™は、日本ポリエチレンの有する触媒技術・プロセス技術・樹脂設計技術を結集して開発した高性能なメタロセン系ポリエチレンです。
一般的にポリエチレン材料では剛性や流動性と耐衝撃性や耐久性とはトレードオフの関係にあり、剛性が高く硬い程、もしくは流動性が高く流れやすい程、耐衝撃性や耐久性は低下する傾向にあります。チーグラー・ナッタ触媒などにより製造される従来のポリエチレンに比べ、メタロセン触媒で製造したポリエチレンは分子量分布、組成分布が狭く材料中の構造欠陥が少なくなることから、剛性、流動性と耐衝撃性、耐久性の物性バランスは一段高い領域にあります。一方で、メタロセン触媒で製造したポリエチレンは溶融張力が低く加工が難しい、成形条件によっては肌荒れが発生するなど、成形性や外観の悪さが指摘されることもあります。
ハイフォテック™は、独自のメタロセン触媒技術と自社のプロセス技術及び樹脂設計技術の融合により、溶融張力による加工性の課題や肌荒れなどの外観課題を解決した高性能ポリエチレンです。
ハイフォテック™ 高剛性タイプは独自のメタロセン触媒技術により、各種物性を維持したまま、現行グレードに比べて高剛性化を達成しました。ポリエチレン製のボトルは輸送時などに荷重や、衝撃を受けることがあり圧縮強度や衝撃強度が同時に求められます。同じ原料を用いて単にボトルを減量化した場合、製品厚みが薄くなり、単位体積当たりの荷重が増加します。その結果、より強い圧力を受けることになるため圧縮強度は低下します。そのためボトルを減量化する場合は原料を高剛性化することにより、荷重に対する抗力を強化し、圧縮強度を高める必要があります。しかし従来のポリエチレンでは高剛性化により衝撃強度が低下し、圧縮強度と衝撃強度の両立が困難になります。ハイフォテック™ MB530Eは高剛性化による衝撃強度低下が抑制され、成形ボトルの製品厚みを薄くしても圧縮強度、衝撃強度の両立が可能なためボトルの減量化が可能となります。
ハイフォテック™ MB530Eは現行洗剤ボトルグレードHB431、HB332Eと比べて、剛性が高く、剛性–衝撃強度–耐久性のバランスに優れたグレードです。
一般的にボトル重量が重い程、製品厚みが増し荷重に対する抗力が増すため圧縮強度は高くなります。ハイフォテック™ MB530Eは高密度で剛性が高いため、現行品に比べ減量化されたボトルでも現行品同等の圧縮強度を発現でき、樹脂使用量の低減に貢献可能です。
図1 ボトル重量見合いでの圧縮強度
一般的にボトル重量が大きい程、製品厚みが増し衝撃吸収断面積が大きくなるため衝撃強度は高くなります。しかし、ハイフォテック™ MB530Eは高剛性でありながら衝撃強度を維持できるため、減量化されたボトルでも現行品同等の衝撃強度を発現でき、樹脂使用量の低減に貢献可能です。
図2 ボトル重量見合いでの落下破壊高さ(衝撃強度)
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