ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
マテリアルリサイクル(MR)材の活用には、以下のようなさまざまな効果があります。
資源の有効活用との観点から、MR-PE材の活用により、主に化石資源由来のバージンポリエチレンの使用量を削減することで、限りある化石資源の使用量削減に繋がります。
MR材を活用する手法として、エンドユーザーでの目的使用を終えたポスト・コンシューマー・リサイクル材(PCR材)や製造工程における廃棄物の流れから取り出されたポスト・インダストリアル・リサイクル材(PIR材)などの活用が期待されています。
PCR材やPIR材をMR材とするMR-PEには多くの利点がありますが、いくつかの懸念点も存在します。
これらの課題を克服するためには、技術の進歩や政策の支援が重要です。例えば、品質管理の技術向上やリサイクル材の利用を促進するためのインセンティブが考えられます。
このようにPCR材やPIR材を活用することは、バージンポリエチレンの使用量の削減に貢献する手段でありながら、物性面や衛生性においては課題があるために、その使いこなしには工夫が必要な状況となっています。そこで、MR-PEと高衝撃・高ESCRグレードであるハイフォテック™ HB331REの併用により上記の2つの課題を解決する手法を以下にご紹介致します。
ハイフォテック™ HB331REは日本ポリケムグループが保有するメタロセン触媒技術により、従来グレードと比較して衝撃・ESCR性と剛性を高い水準で両立させることが可能となった高性能中空成形用グレードです。
下表にハイフォテック™ HB331REと、従来の洗剤容器用途グレードであるノバテック™ HD HB332Eの物性比較を示します。密度やMFRといった基本物性は同等ですが、引張衝撃強度やボトル法ESCRが大きく向上します。
ここでは、図1のように外層/中間層/内層で構成される三層構造のボトルにおいて、中間層のMR-PE(市販品)の内外層にハイフォテック™ HB331REを用いることによる、MR-PEの課題解決をご提案します。
図1 三層構造ボトル
各種検討の結果、外層・内層に用いるハイフォテック™ HB331REを合計32%、中間層に用いるMR-PEを68%とすることで、洗剤容器用途グレード(ノバテック™ HD HB332E)の単層ボトルと同等のボトル法ESCR結果を得ることができ(図2)、バージンPEの使用量を68 %削減することができます。
図2 各種単層ボトルと三層構造ボトルのボトル法ESCR結果
また、三層構造の中間層にMR-PEを採用しているため、ボトルの外表面にMR-PE由来のブツの露出がなく、外観上の懸念をなくすことが可能です。また、同様にボトルの内表面もバージンPE(HB331RE)となるため、内容物と接液する層の衛生性のリスクを低減することも可能となります。
目標達成のために必要なバージンPEの比率は、MR-PE自体の物性レベルにもよるため、MR-PEの物性がより洗剤容器グレード寄りの物性であればあるほど、更にバージンPEの使用量を抑えられることが想定されます。このように、ハイフォテック™ HB331REの利点を活かした多層成形により、MR-PEを用いながら既存のバージン材同等の物性を発現させることができ、限りあるポリエチレン資源を有効利用することが可能となります。
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