ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE

高流動化で実現する省エネブロー成形

高流動化で実現する省エネブロー成形

環境負荷低減が求められる背景

近年、私たちは下記に掲げるような様々な環境問題を抱えており、将来において持続可能な社会を継続していくためには、どのように環境負荷を低減していくかが課題となっています。

  • 地球温暖化の進行
    温室効果ガスの増加により、地球の平均気温が上昇しています。これにより、異常気象や自然災害の頻発、海面上昇などが引き起こされています。
  • 資源の枯渇
    化石資源や鉱物資源などの有限資源が急速に消費されており、将来的な資源不足が懸念されています。
  • 環境汚染
    工業活動や廃棄物の不適切な管理により、大気汚染や水質汚濁が深刻化しています。

ポリエチレンは軽量で成形性が良く耐衝撃性に優れることから世の中に広く普及しているプラスチック素材ですが、こうした環境問題へのアプローチとして、これまでの破壊強度や耐衝撃性といった機械物性、耐久性を重視した製品開発だけでなく、素材使用量削減や省エネルギー化、再生材の有効活用に貢献できるような製品開発が求められています。

ハイフォテック™とは

ハイフォテックは日本ポリエチレンの有する触媒技術・プロセス技術・樹脂設計技術を結集して開発した高性能なメタロセン系ポリエチレンです。

一般的にポリエチレン材料では剛性や流動性と耐衝撃性や耐久性とはトレードオフの関係にあり、剛性が高く硬い程、もしくは流動性が高く流れやすい程、耐衝撃性や耐久性は低下する傾向にあります。チーグラー・ナッタ触媒などにより製造される従来のポリエチレンに比べ、メタロセン触媒で製造したポリエチレンは分子量分布、組成分布が狭く材料中の構造欠陥が少なくなることから、剛性、流動性と耐衝撃性、耐久性の物性バランスは一段高い領域にあります。一方で、メタロセン触媒で製造したポリエチレンは溶融張力が低く加工が難しい、成形条件によっては肌荒れが発生するなど、成形性や外観の悪さが指摘されることもあります。

ハイフォテック™は、独自のメタロセン触媒技術と自社のプロセス技術及び樹脂設計技術の融合により、溶融張力による加工性の課題や肌荒れなどの外観課題を解決した高性能ポリエチレンです。

ハイフォテック™のグレードラインナップ

  • (市販品)HB331RE:高衝撃・高耐久タイプ
    高衝撃、高耐久が要求される洗剤ボトルへの使用が可能です。物性が低下しがちな再生材の活用方法として、再生材との多層や改質材としての利用が可能です。
  • (開発品)MB340E:高流動タイプ – 耐久性重視
  • (開発品)MB440E:高流動タイプ – 剛性重視
    現行品同等の物性を維持したまま、高流動化を達成しました。押出時における樹脂の溶融粘度低下によりスクリュー・モーターの消費電力が抑制され省エネルギー化に貢献可能です。また、現行グレードより低い温度での成形が可能であるため、消費電力の抑制や成形サイクルの上昇に寄与します。
  • (開発品)MB530E:高剛性タイプ
    現行品同等の物性を維持したまま、更なる高剛性化を達成しました。高剛性化により、製品剛性を維持したままポリエチレンの使用量を削減できる製品設計が可能です。

高流動タイプ(MB340E、MB440E)の特性

ハイフォテック™ 高流動タイプは独自のメタロセン触媒技術により、各種物性を維持したまま、現行グレードと比べて高流動化を達成しました。ブロー成形時に樹脂を溶融押出した際、現行グレード対比で押出量見合いでのスクリュー・モーターの消費電力量を抑制することが可能なため、省エネルギー化に貢献できます。

  • ハイフォテック™ MB340Eは現行洗剤ボトルグレードHB332Eと比べて、剛性・耐衝撃性が同等で、流動性を向上させたグレードです。
    ハイフォテック™ MB440Eは現行洗剤ボトルグレードHB431と比べて、剛性・耐衝撃性が同等で流動性を向上させたグレードです。

一般的に樹脂の溶融粘度が高い(流動性が低い)程、もしくは押出量が多い程、押出機のスクリュー・モーターにかかる負荷は大きくなるため、モーター消費電力量は多くなります。ハイフォテック™ 高流動タイプは高MFR、高流動であるため、従来品に比べモーター消費電力を抑制することが可能であり、電力消費量の低減に貢献可能です(図1)。

図1 押出量見合いでのスクリュー・モーターの消費電力

一般的に樹脂の溶融粘度が高い(流動性が低い)程、もしくは押出量が多い程、押出機のせん断発熱は大きくなるため樹脂温度は高くなります。ハイフォテック高流動タイプは高MFR、高流動であるため、現行品に比べせん断発熱に伴う樹脂温度の上昇を抑制することが可能です(図2)。樹脂温度の上昇を抑制することで、金型での冷却時間を短くすることが可能となり、サイクルタイムの短縮が可能となります。

図2 押出量見合いでの樹脂温度

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