ポリエチレンガイドPOLYETHYLENE GUIDE
マテリアルリサイクル(MR)材の活用には、以下のようなさまざまな効果があります。
資源の有効活用との観点から、MR-PE材の活用により、主に化石資源由来のバージンポリエチレンの使用量を削減することで、限りある化石資源の使用量削減に繋がります。
MR材を活用する手法として、エンドユーザーでの目的使用を終えたポスト・コンシューマー・リサイクル材(PCR材)や製造工程における廃棄物の流れから取り出されたポスト・インダストリアル・リサイクル材(PIR材)などの活用が期待されています。
PCR材やPIR材をMR材とするMR-PEには多くの利点がありますが、いくつかの懸念点も存在します。
これらの課題を克服するためには、技術の進歩や政策の支援が重要です。例えば、品質管理の技術向上やリサイクル材の利用を促進するためのインセンティブが考えられます。
現在、環境対応としてPCR材を用いたMRによる用途開発が進んでおり、「ボトルtoボトル」といった水平リサイクルが提唱されています。ただしMRを行ったポリエチレン(MR-PE)は、一度製品化され市場で使用済みの材料を回収したものとなるため、バージンポリエチレンと比較して、熱劣化や酸化劣化、洗浄・分離精度低下による異材料混入などにより、衝撃強度やストレスクラック性といったボトル容器に求められる物性の低下の懸念があります。そのため、MR-PEをバージン材と同様に使用するためにはこれらの物性を改質し、物性向上を図る必要があります。
現在開発中のMR-PE向け改質材は、剛性を維持しながら、ESCR・衝撃強度を洗剤容器グレード同等レベルまで飛躍的に改質可能とすることを目標としています。特に少量配合での改質効果発現を目指しており、10~30 %程度添加での目標達成を目指しています。
図1に、MR-PEに対して各種改質候補材(現行洗剤容器グレード/軟質PE/新規開発材)を改質材として用いた場合の改質後物性イメージを示します。例えば、軟質PEを用いて改質をする場合は、MR-PEのESCR・衝撃強度を目標レベルまで改質できる一方で剛性の維持が達成できません。また、現行洗剤容器グレードを用いて改質をする場合は、剛性を維持できる一方で、ESCR・衝撃強度が目標未達となってしまいます。現在鋭意開発中の新規開発材を用いて改質をすれば、目標としている剛性及びESCR・衝撃強度を両立させることが可能となります。
図1 MR-PEへ各種材料を改質材として用いた際の改質後物性イメージ
図2に、MR-PEに対して検討材を改質材として用いた際の配合量と改質後物性のイメージを示します。ESCR・衝撃強度の改質レベルが非常に高く、少量での改質が可能です。
日本ポリエチレンは、改質材を用いたマテリアルリサイクルへの取組を今後さらに進めて参ります。PCR材やPIR材を用いた製品設計をご検討されている場合は、ぜひ弊社HPよりお問い合わせください。具体的な改質方法をご提案いたします。
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